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OW-N65 Director Chair

ディレクターチェア
廃材から生まれたヒット商品
 

当時は丸いパイプのディレクターチェアが主流で、市場で求められていたのは、強度の必要な低い姿勢で座るタイプのローチェアだった。
ONWAYは、断面が空心で「目」の形状をした楕円パイプでローチェアをつくった。
が、重すぎて商品化ができず、工場の不良在庫と化したこの楕円パイプを何とかしなければ、という事情が生じたのであった。
 
そこで考えたのが、楕円パイプの幅広の面を生かして椅子の形にすることだった。
商品化されなかったローチェアの脚部の曲げ加工が最初のヒントとなった。
 
従来なら三本の丸パイプで構成されるディレクターチェアの片面フレームを、一本の連続した楕円パイプを曲げることでつくれないかと考えた。

まず試作に入る。一本のパイプで内方向と外方向に六箇所曲げて、ほぼ正方形の片面フレームを作った。
従来なら八本のパイプが必要な椅子が四本のパイプで出来たことは、構造面での大きな進歩だった。
このとき商品化の可能性が見えたのだ。
  
運命の出会いもあった。
人に紹介されて、ある大手マッサージチェア・メーカーの役員で、個人で三軒のカラオケ店を経営している方と知り合った。
その方は、
 「おれは四十年間椅子を造っているが、本当にいい椅子には恵まれなかった」と言う。
 「先輩のおっしゃるいい椅子とは?」と尋ねると、
 「映画を二時間ぐらい座って見ていても、座り疲れを感じない椅子だね。」
 と、なんとも明快な答えが返ってきた。
  
二時間座って姿勢をあまり変えなくても疲れを感じないような椅子がいい椅子だとすれば、
それは人間工学に基づいた、理論的にも検証可能な椅子でなければならないだろう。
 
さっそく楕円パイプを使って、座面の高さ、座面の傾斜角度、肘掛け角度、背もたれの角度、転倒しないための条件、着地点、重力分散などを、それぞれ細かく検証。
さらには椅子のフォルム、表面加工方法、フォルムが崩れにくい生地の選択などを何度も繰り返して実験を行った。
  
こうして三ヶ月後、これらの要素を取り入れた初代ディレクターチェアが誕生した。
  
ONWAYは2002年のG-Mark(Good Design Award)に申し込みをした。
作品を二次審査の会場に持ち込む際、他社は展示台・照明・絨毯・説明パネルなど派手に展開したのに対して、当社はデイスプレーのことなど何も知らず、一脚の作品のみを携えて電車に乗り、ビッグサイトの審査会場の指定された場所のコンクリートの地面に置いただけで会場を去った。
  
その年、ONWAYは初めてG-Markを取得した。
  
同年、日本市場でこの作品は大ヒットし、2005年にはアメリカでもブレイクした。
同作品はいまやフォールディンクチェア、または、ディレクターチェアの代名詞になるくらい世界中で知られている。そして残念ながら、数え切れないほど模倣されるようにもなった。