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OW-2000 Century Table



長尺天板を頂く
エッフェルアーチ

さらに大きな天板を持つテーブルが欲しい。
そんなオファーに応えるべく、新たなひらめきを求めて旅に出た。
パリへ向かう列車の中、脳裏に浮かび上がってきたのがヨーロッパ建築のアーチだった。

世紀を超えた美のフォルム
 2006年、アメリカから「特大サイズのテーブル」というオファーが入った。当社の既存のテーブルは最大でも長さ180×幅80cm。それ以上のものを作るとなると、構造も素材もすべてを一新しなければならない。さもないとOnwayの基準としている重量10kg以下という条件をクリアできないのだ。しかし、それはかなり高いハードルへの挑戦だった。

軽く強く、美しいアルミハニカム素材
 重量を抑えるには、まず天板の素材から考えなくてはならない。当時、顧客と価格の折り合いがつかずに残ってしまった材料が、社内に残っていた。航空機の構造材料などに使われるアルミハニカムという素材である。
 ハニカムは、文字どおり蜂の巣のように六角柱を隙間なく並べた構造のことで、いわば蜂の巣を薄切りにしたようなもの。この薄切りを芯材として薄いアルミ板でサンドウィッチしたものがアルミハニカム素材だ。非常に軽く、高い強度があり、表面は平滑。この素材を採用することで、2メートルという長尺天板が可能になった。
 特大天板を軽くするには、表面積に対して薄くしたい。しかし、通常の素材では薄くすると強度が落ちる。それがアルミハニカム素材なら、強度を保ちながら薄い天板にできるのだ。しかもフラットな表面は、汚れを拭き取りやすく清潔で、美しい。

エッフェルアーチで特大天板を支える
 薄くフラットな天板を支える脚部。その構造を決めたのは、イタリアからパリへ向かう列車の中で脳裏に浮かんだアーチ型だった。このテーブルのオファーを受けた時、何かヒントを得られないかと、建築の宝庫であるヨーロッパへ旅に出た。列車の中で、各地で目にした半円アーチ状の建築造形が心の隅に引っかかっていることに気づいたのだ。パリ滞在中にもそのイメージはますます明確なフォルムになってゆく。シャン・ド・マルス公園から真正面に望むエッフェル塔。スケッチブックに納めたそのラインが、センチュリーテーブルのフォルムとなった。
 19世紀末、当時の鉄道技術を駆使して造られたエッフェル塔は、鉄橋を縦にしたともいわれた。建造当時は伝統あるパリの街並にふさわしくないと批判の声も多かったという。しかし、足掛け2世紀をまたいだ今日、その力強くも優美な曲線には心を奪われる。優れたデザインは時空を超えて輝くものなのだ。

フォルムへのこだわり
 エッフェル塔のアーチをテーブルの脚部で再現するには、継ぎ目なく1本で大きな弧を描くパイプが欲しい。それには大きな金型も必要になる。製造の現場では、「作りやすさ」が優先されるものだが、フォルムの美しさに関してはどうしても妥協できなかった。さらに、天板裏中央の二つ折り機構も、橋梁の構造原理にならい、2メートルという長尺天板の中央を強力に、かつ美しく支えるヒンジ機構にこだわった。
  
 機能と大きさだけではない、時代を超えて使える美しさを追求したセンチュリーテーブルは、間もなく10年目を迎える現行商品である。